遊方工房主催「自作パソコン制作講座」[暫定版]
プラモデルを作るのと同じ感覚でパソコンを自作できることをごぞんじですか? いわゆるDOS/Vマシン(PC/AT互換機)は、パソコンを構成するいろいろな部品を 集めて組み立てるだけで自分好みのマシンを制作することが可能です。 パソコンに関する知識が少々ある方なら誰でも、プラス・ドライバー1本の道具 だけで組み立てられます。 ものづくりに興味がある人は、ぜひ挑戦してみてください。 以下の説明は、後掲の参考文献の中で、エンドユーザーの立場で私が実践した内 容をもとにしています。(記述内容は当時のままとなっていますのでご注意くだ さい) その後、パソコンの世界は急激な変化を遂げていますが、根本的内容は十分参考 になると思います。写真などは載せておりませんが、もしご要望が多いようであ れば、充実させていきたいと思っています。 |
かつてのオーディオマニアは,真空管(懐かしい!)やトランスなどの部品を集めてアンプを組み立て,単体のスピーカーと木の板を購入し日曜大工でスピーカーのボックスを作るなどして,自分だけのオリジナルなオーディオシステムを手作りしたものです.そして,完成したシステムでさまざまなレコードを再生して,これこそが自分の求める音だと悦に入っていたものです. PC/AT互換機の醍醐味も,まさに同じではないでしょうか.自分で仕様を検討し,さまざまな部品を収集し,システムを作り上げ,ソフトウェアをインストールしてパソコンシステムとしてインテグレートします.さらには,周辺機器を増設したり,CPU
をアップグレードするなどの拡張を行ってシステムを育てていくのです.
■パソコンの手作り
均一な品質の高性能パソコンが安価に手にはいる現在,パソコンを手作りする意味は何でしょうか.
ビジネスで今すぐ仕事に使いたいというような場合には,もちろん,メーカー製あるいはショップ製で,実績があり,サポートのしっかりした製品を選ぶべきです.価格的にも,量産・量販効果により,個々の部品単位で見れば自作するより安価で手に入るでしょう.
一方,手作りの過程を通じてパソコン自体を楽しんでしまおうという人には,PC/AT互換機は格好の材料となります.
ログハウスを自分で作り上げるとなると,並み大抵ではできませんが,パソコンの手作りはポイントさえきっちりと押さえれば,さほど難しくはありません.実際,マザーボードやケースなどの広告が雑誌に多数掲載されているということは,それだけ需要があるということにほかなりません.
しかし,パソコンの手作りにはそれなりのリスクが伴いますし,努力も必要になりますので,その点をよく承知しておいてください.
■あなたがメーカー
パソコンの究極の楽しみ方とも言えるのが,パソコンの手作りですが,誰にでもお勧めできるというものではありません.
雑学的な知識が役に立つ場合もありますが,やはり専門的な知識を必要とする部分もあります.しかしながら,何よりも旺盛なアマチュア精神が最も大切なのかもしれません.何はともあれ,最終的な責任は自分自身で負わねばなりません.メーカーはあなた自身ということになるわけで,当然誰もサポートをしてくれません.
脅かすわけではありませんが,PC/AT互換機用として販売されている部品の多くは,サポートが期待できないと思っておくほうが賢明でしょう.英文のマニュアルが添付されていたり,生産国での連絡先が明示されている場合は,それだけで十分なサポートがあったと理解すべきです.
いわゆるノーブランドの製品では,頼りにできるもものは何もありません.逆にいえば,メーカーがサポートをしないからこそ価格を安くできるのです.購入する側の自衛策としては,信頼できる販売店を捜して,返品や交換などに応じてもらえるようにつながりを作っておく方が重要だと思います.
■命名しよう
どのような思いを込めてパソコンを手作りするのかを明確にするために,まず先に名前を考えてしまうことにします.
筆者の場合は,次のように命名しました.
UFO(Uchida Full Original)-486システム,モデルEEE(Easy,Economica l,Expandable)です.製作が容易で,廉価で,拡張性の高いシステムを目指して名付けました. 初級者向けのベーシックモデルとして,今回筆者が考えたシステムの基本構想は次の通りです.
@価格は概ね25万円以下とする.
ACPUはi486DX2-66MHzを採用する.
B拡張性と設置場所とのバランスを考えて,ケースはミディアムタワーとする.
Cマザーボードは実績のある有名メーカー製品を選択する.
D部品点数を減らすため,IDE コントローラーやシリアルポートインターフェース内蔵のマザーボードを選ぶ.
EDOSとWindowsの使用を前提としたシステム構成とする.
F基本モデルであるので,マルチメディア化はしない.(もちろん,すぐに対応可能)
G初級者向けとはいえ,ビデオカードやディスクの性能を犠牲にしない.
■CPUを選ぶ
現在主流のCPUは,デスクトップであればiDX4-100MHzあるいはPentium 60MHz以上に移行しつつあります. ノート型でもi486SX-33MHz以上あるいはiDX4-75MHz
クラスが本流となってきており,CPUの高性能化に拍車がかかってきています. そのような状況の中で,いわゆる入門者向けの廉価モデルでも,i486DX2-66MHz
を搭載した製品が増えてきています. i486DX-33MHzクラスでも,Windowsはそこそこ快適に動きますが,今から製作するのであれば,やはりi486DX2-66MHz
以上が妥当な所でしょう. Pentium+PCIバスという選択も十分可能ですが,筆者の他のマシン(VLバス)のビデオカードを流用して使用する場合の互換性の問題から,今回は見送ることにしました.
■ケースを決める
拡張性第一という観点からすれば,設置場所さえ許せば,当然フルタワー型ということになりますが,筆者の場合はすでにフルタワー型を利用していますので,違うサイズを試すために,あえて,ミディアムタワーというやや小振りのケースを選びました.(写真1)
台湾製のMT5006という型番のケースですが,説明書は添付されておらず詳細は不明です.添付品はネジ類や拡張スロットの開口部をふさぐための金具などだけです.(写真2)なぜ,この製品を選んだかというと,単に,サイズおよび外観上のドライブベイの配置などのデザインが筆者の好みにあっていたからです. サイズは,W(幅)170×H(高さ)470×D(奥行き)420oであり,タワー型としてはコンパクトな部類です.大きめの机であれば上に乗せることも可能ですが,筆者の場合は机の横または下に置いて使う予定です.ケース自体の重量は約12
sですので,移動の際には楽ができますが,逆にフロッピーの抜き差しのときなどはもう少し安定感がほしいところです.
タワー型ですので,内部の広さは十分ありますので拡張性は心配いりませんし,組み立て作業も比較的楽に行えます. なお,本ケースには200Wの容量の電源が組み込まれています.参考までに,ケースから取り外してみました.電源ボックスから左側に出ているのが各装置への給電ケーブルで,右側は電源スイッチに接続してあるケーブルです.(写真3)
■MT5006
MT5006の前面のレイアウトは図1のようになっています. 前面の上部には,5インチドライブベイのための3つの開口部があり,それぞれプラスチックのパネルで蓋がしてあります.このパネルは,マイナスのドライバーなどを使って前に引き出せば簡単に外せます. また,その下には,3.5インチドライブベイのためのスペースが2
つ設けられています. 中央右にはLEDとスイッチが3つずつ縦に配置されています.それぞれ,上から順に,HDDのアクセスランプ(LED),TURBO
LED,電源ランプ(LED)とRESET スイッチ,TURBOスイッチ,POWER(電源)スイッチです. 中央左には,CPUのクロック周波数表示のためのLEDが用意されています.標準では,TURBO状態で120MHz
,そうでないときには16MHzと表示されるようになっています.しかし,TURBOスイッチ自体を利用する機会がなければ,このLED
を使用する必要性はありません.ケースに添付されている部品の箱に,英文で表示切り替えの説明が記されていますが,前面ケース内のジャンパを変更しなければならず,結構面倒ですので使用しなくてもよいでしょう.使用しない場合には,この部分への給電ケーブルを接続しなければよいのです. 筆者の場合には,試しにジャンパを変更して,常時66すなわち66MHzと表示するように設定してみました.この作業を行う場合には,ケースの天井部にあるネジを外して,前面のプラスチックのカバーを開く必要があります.(写真4) 内部および背面のレイアウトは,それぞれ図2,図3のようになっています.
■マザーボード
パソコンを自作する場合に最も重要なのが,マザーボードの選定です.もちろん,高性能で拡張性に富むものが望ましいのですが,そういった比較判断を個人のレベルで行うのは至難の技です.したがって,英文であってもしっかりしたマニュアルが添付されることを期待し,また各種の情報を入手できる可能性の高い,実績のある有名メーカーの製品を選ぶことにしました. 例えば,AIR社,AMI
社,GIGA-BYTE社,Jbond社,Micronics 社などが有名です.今回は部品点数を減らして作業の簡略化を図るため,周辺装置インターフェースを内蔵したタイプのマザーボードを選択しました. 以上の検討から,次のような規格となります. @VESA/ISAバス・アーキテクチャ A72pin
SIMMメモリ対応 BVL IDEコントローラー内蔵 CFDC/2S/1P(フロッピーディスクコントローラー,シリアルインターフェース×2,パラレルインターフェース×1)内蔵 DiDX4対応(但し,従来製品でもDX4変換アダプターにより対応可能なので必須事項ではありません.) ※BやCが内蔵されていないボードを選んだ場合には,ISAスロットなどに挿入して使用するマルチI/Oカードなどを別途購入する必要があります. これらを満足するものでできるだけ安価な製品ということで,最終的にAIR
社の486MI(Green)とMicronics社のJX-30GC (Green)が候補に残りました.どちらでもよかったのですが,JX-30は筆者が使用しているGATEWAY2000の4DX-33V
に採用されていますので,486MIの方を使用してみることにしました.
■ディスク
フロッピーディスクは,雑誌の付録も3.5" に変わりましたので,3.5"
のドライブを2台(1台は3モード対応)としたいところですが,全体の価格を抑えるため取り敢えず1台としました. ハードディスクは,価格が相当低くなっているので540MB容量のものを選ぶのが賢い選択ですが,全体の価格を少しでも抑えるため340MBで妥協することにしました.ハードドライブも各社から販売されています.今回はQUANTUM社のLPS340ATを選択しましたが,特別な理由はありません.なお,ドライブの種別はIDEタイプです.
■ビデオカード
ビデオカードも高性能の新製品が続々と発表されていて迷うところですが,98ユーザにはお馴染みのアイ・オー・データ機器から発売されて,抜群のコスト・パフォーマンスで話題のAccela
Major GA-DVLIIを採用することにしました. 選定した理由としては,高速表示カードの代名詞ともいうべきDiamond
Viper/VLB並みの性能が,24,800円という低価格で手にはいるということで,まさに本システムにピッタリというわけです.また,国内製品ということで,トラブルの発生しがちなビデオカードのインストールも容易にできるだろうという思いも手伝いました.
■部品を集めよう
手作りパソコンの概略仕様を決め,部品を発注しました.しかし,パソコンの部品の流通には相当波があるようで,入手しにくい部品があったり,納期の長いものもあるようです.一旦在庫が切れてしまうと,次の入荷までに相当時間がかかるというのが実際のようです. もう少し待てば入手可能なものもありましたが,今月号に間に合わせなければならなかったので,仕様を一部変更して購入することにしました. パソコンの組み立ては,慣れてしまえばマニュアルを見ながら行っても2時間もあれば充分です.むしろ,部品の収集の方が大変かもしれません.秋葉原や日本橋に直接出かけて購入できる人は,自分の足で目的の品を探すことになります.また,通信販売で購入する場合や近くのパソコンショップで購入する場合には,個別に部品を集めなければなりません. なお,組み立てに不安が残るという場合には,組み立てキット製品で自分の希望する仕様に近いものを選ぶことも可能です. 今回のパソコンの手作りでは,特定のディスプレイを指定していませんが,ビデオカードの性能を生かせるように,解像度1,024
×768ドット以上で256色以上の表示が可能なDOS/Vマシン対応の製品を別途購入しておく必要があります.最低でも15インチサイズ,できれば17インチのものを準備しましょう.
■システム構成
基本的なシステム構成は,説明したとおりですが,変更となった部分について説明します. まず,マザーボードですが,ちょうど新バージョンの発売直前であったため在庫がなく,AIR社の486MIが入手できませんでした.そこでやむなく,価格は数千円アップしますが,486MIにSCSI-2インターフェース機能が加わった486MISという上位モデルを購入しました.(写真1) 今回の仕様では,SCSI
機能は必要なく,またIDEインターフェースの改良版であるEnhanced IDEが登場してきていますので,読者のみなさんが購入される場合には486MIの新バージョンV2.2(iDX4対応)をお勧めします.なお,SCSIインターフェースが必要になったときには,SCSIカードを購入すれば対応できます. ところで,前回の引越し作業で問題となったキーボードコネクタは,486MISの場合には標準のATタイプであり,ケースの加工は必要ありませんので安心してください. SIMMメモリは,4MB
72pinを二つ購入して8MBとする予定でしたが,8MB 72pinのSIMMモジュールを一つ購入しました.ただし,4MBあるいは16MBモジュールの場合は多くのマザーボードで使用可能ですが,8MBのモジュールはマザーボードによっては利用できない場合があるようですので注意してください. 486MISのメモリバンクはかなり柔軟ですので,4MB,8MB,16MB,32MBなどのモジュールが使用でき,混在可能な組み合わせもあります.ただし,ソケットが三つしかないので,最初からできるだけ容量の大きいものを設定しておく方がよいでしょう.今回の仕様では,メインメモリ8MBでしたが,予算に余裕があれば16MBにしておきたいものです. IDE
ハードディスクドライブは,WESTERN DIGITAL社のCaviar2340という製品を購入しました. 組み立ての段階ではビデオカードが間に合わなかったため,とりあえずGATEWAY2000
4DX-33Vのビデオカードを流用しました.また,フロッピーディスクも未入手でしたが,3.5インチドライブの手持ちが1台ありましたので,それを利用しました.いずれも,入手すればすぐに取り替える予定です.
■マザーボード
486MIS V1.1の主な仕様は表1のとおりです.また,マザーボード上の部品レイアウトを図1に示しますので参考にしてください. マザーボードには,写真2のような付属品が添付されています.下段左側から,IDE用ケーブル,英文マニュアル(60頁),ドライバソフト等のフロッピー(2枚),フロッピーディスク用ケーブルです.さらに,上段左側から,拡張スロット開口部に取り付けるためのブラケット付きシリアルポートコネクタとケーブル,およびパラレルポートコネクタとケーブル,内蔵用SCSIケーブルとなっています. 前回の仕様では,ハードディスクケーブルとフロッピーディスクケーブルも購入品目として挙げていましたが,いずれもマザーボードに添付されていますので別途購入の必要はありません.
■組み立て準備
組み立てに必要な道具は,プラスとマイナスのドライバーおよびラジオペンチぐらいです.筆者の場合には,前回の引っ越し作業で組み立て作業の流れが分かっていましたので,仕事が終って家に帰って食事をした後,2
時間足らずで組み立てが終りました. 組み立てに必要なネジ類は,すべてマザーボードに付属しているものが利用できますので問題ないはずです.ただし,ネジにはISO(JIS)ネジと呼ばれるミリネジとインチネジの二種類がありますので,ネジがすんなりと入らない場合には,間違っていないか確認してみてください.このとき無理をして「ねじ込む」と,ネジ山がつぶれてしまうので注意を要します. パソコンの組み立ては,一つひとつの作業内容を確認しながら丁寧に行ってください.ほとんどの部品に方向性がありますので,取付け方向(上下,左右,裏表)を間違えないようにしてください.部品によっては逆挿しできないように形状が工夫してあるものもありますが,フラットケーブルコネクタのように簡単に逆取付けできてしまうものもありますので注意しなければなりません. 一般に,電子部品に水や油などは禁物です.コネクタの接続部である金属部分や各種基板・CPUのピン(足)などは,濡れた手などで直接触れないようにしてください.水や油などがつくと誤動作や故障の原因となります. また,ハードディスクやフロッピーディスクに強い衝撃を与えることも避けてください
. 以下の説明では,組み立て時のポイントになるところを重点に説明していきますので,詳細についてはマザーボードのマニュアルを参照しながら作業を進めてください.英文のマニュアルですが,図と表だけ見れば充分内容が分かりますので心配には及びません.まず,各部品とケーブルの接続関係を確認しておきます.(図2) それでは,組み立ての手順について説明しましょう.
■組み立て手順
@本体ケース背面のネジを外し,上側のカバーを外します.
A本体ケースからIDEドライブベイを外し,ネジを6本ほど使ってハードディスクを取り付けておきます.(写真3)
このとき,ドライブの上面に記されている情報のうち,ドライブの仕様に関する内容をメモしておいてください.BIOSの設定時に必要になります.例えば,Caviar2340の場 合には,「Drive
Parameters: 1010cyl 12heads 55spt 341.2MB」と記されています.
BSIMMメモリ
マザーボードのSIMMソケットに,SIMMメモリを取り付けます. SIMMメモリの基板の1ヶ所には切り欠き部分があって非対称の形状になっていますの で,逆取付けができないようになっています.無理に挿入して取付け金具を壊さないよ うにしてください.正しい取付け方向であれば,例えば「カチッ」と音がするなど,収 まりよく装着できるはずです. 写真4のように,切り欠きをCPUソケット側に向けて,SIMM基板上に印刷文字のある 面がマザーボードの中央側になるようにします.そして,マザーボード中央側より45度 の角度で差し込んだ後,基板の両端を持って,基板がマザーボードに対して垂直になる ように静かに起こします.
Cマザーボード マザーボードの取付方向は,写真5のように,CPUソケットがケース前面側になるよ うにします.マザーボードの取付け穴と本体ケースの取付け穴とを対応させてみて,取 付け位置を確認します.マザーボードと本体ケースが接触するのを防ぎ,また,しっか りと固定するための金属スペーサ3本を,あらかじめ本体ケースに取り付けておきます .(写真6) 図1において「マザーボード取り付け金属ネジ」と記してあるところ3 カ所に配置しておくとよいでしょう. 次に,プラスチックピンを本体ケースの穴に取り付けた後(写真7の左側のピン), プラスチックピンの傘をマザーボードの穴に通して,マザーボードをケースに取り付け ます.このあと,金属スペーサの部分をネジ留めして固定します. なお,写真7の右側のプラスチックピンは,マザーボードの端を固定するためのもの ですが,今回は使用しませんでした.
Dフロッピーディスクドライブ 今回取り付けた3.5インチドライブは,5
インチドライブベイに装着するためのマウン タと呼ばれる金具に取り付けられていましたので,一番上の5インチドライブベイに取 り付けました.そうでない場合には,3.5ドライブベイに取り付けることになります. 写真8のように組み込んで,側面からネジ留めします.
Eハードディスク ハードディスクを組み込んだドライブベイを本体ケースに取付けます.(写真9)
F信号ケーブル類の接続 今回の作業では,電源ボックスから出ている給電ケーブル以外のケーブルをまとめて 信号ケーブルと呼ぶことにします.(表2) ケーブル接続の要点は「1番ピン同士を接続する」ことです.例えば,コネクタに記 号(▼)が付いてたり,フラットケーブルのうち1本だけが違う色や模様になっている ことによって1番ピンの方向が示されています. ハードディスクやフロッピーディスクドライブのコネクタの場合には,コネクタにつ ながるドライブ底面の基板上に1とか2などの数字が印刷されていますので,1
番ピンの 位置を知ることができます. また,マザーボード上のコネクタのすぐ横にも,FLOPPYやIDEなどコネクタの名称と ともに,ピン番号が印刷されています.(写真10) IDEドライブのケーブルには,3つのコネクタが付いていますので,一方はマザーボー ドのIDEコネクタに接続し,中央のコネクタをIDEドライブのコネクタにつなぎます.( 写真11,図3) したがって,1
つのコネクタは未使用となります. フロッピーディスクドライブのケーブルは図4のように接続してください.ケーブル には,Aドライブ,Bドライブ用として各々5インチまたは3.5インチ用のコネクタがつい ていますので,どちらか適合する方のコネクタにつなぎます.このとき,ドライブ自体 は3.5インチであっても,ドライブのコネクタの形状が5インチ用である場合には5イン チ用のコネクタに接続します.
表2 信号ケーブルの接続
信号ケーブルの接続方法 備 考
の ←→ 上のIDE 40
の ←→ 上のFLOPPY 34
上のCOM1,COM2 ←→ 拡張開口部へ装着 10
上のPARALLEL ←→ 拡張開口部へ装着 26
前面からのTURBO LED ←→ 上のTB/LED1番(白) 2番(黄)
前面からのRESET SW ←→ 上のRESET 1番(橙) 2番(白)
前面からのH.D.D LED ←→ 上のHDLED 1番(赤) 2番(白)
前面からの ←→ 上のSPKR 1番(黒) 4番(赤)
前面からの電源LED ←→ 上のKLOCK 1番(黄緑) 3番(白)
Gマザーボードへの給電ケーブルの接続
マザーボードへの給電ケーブルは,P8およびP9と記された白いコネクタの付いている ケーブルです.この2本をセットにして,中央に黒い線が隣り合わせになるように,マザーボード上のPS1とPS2というコネクタに接続します.(写真12) このとき,P9が PS1に,P8がPS2にそれぞれ対応するはずですので確認してください.(表3)
表3 給電ケーブルの接続
給電ケーブルの接続方法
給電(P9) → 上のPS1
給電(P8) → 上のPS2
電 → IDEの電源
給電 → の電源
給電 → CPU冷却
HCPUのソケットへの装着
CPUをソケットに装着する際には,方向に充分注意してください.間違って装着する と,高価なCPUを破損することになります. CPUの取付け方法もコネクタなどと同様で,ソケットの1番ピンの位置とCPUの一番ピンとを対応させます.ソケットの1番ピンの位置は図1を参照してください.CPUの1番 ピンの位置は,CPUの素子自体に1ヶ所切り欠きがありますので,そちら側が1番ピンの 方向です.また,1番ピン側には小さな黄色の丸が記されていることでも確認できます .今回筆者が購入したCPUの場合には,CPU冷却ファンがCPUを覆っていましたが,その 隙間から確認できるようになっていました.まずソケット横のレバーを起こしてCPUを差し込み,そのあとレバーを押さえて確実 に固定します.(写真13)
Iその他の給電ケーブルの接続
電源ボックスからの給電ケーブルを,ハードディスク(写真14),フロッピーディスク,CPU冷却ファンの電源コネクタにそれぞれ接続します.(表3) これらの給電ケーブルのコネクタの場合には逆挿しができない形状となっていますので方向を間違うことはありませんが,接続がしにくいので,奥まで十分に差し込んだことを確認してください.
Jシリアルポートとパラレルポート
シリアルポートの金属金具の付いている側のコネクタは,拡張スロットの開口部にネジ留めします.(写真15) もう一方のコネクタは,マザーボード上のCOM1とCOM2のコネクタにつなぎます.小さい方の9ピンのコネクタにCOM1を,大きい方の25ピンのコネクタにCOM2
を対応させます. ケーブルが1本だけとなりますが,パラレルポートも同じ要領です.
Kケース前面のスイッチおよびLEDケーブルなどの接続
ケース前面のスイッチ,LEDからのケーブル,およびスピーカーのケーブルをマザーボード上の対応するコネクタに接続します.(写真16) ただし,TURBO
LEDのケーブルコネクタだけは他のコネクタと裏表の向きが逆の状態となりますので注意してください. なお,TURBOスイッチについては,今回は使用しないので未接続とします.他の信号 部分などに接触しないようにさえしておけば,輪ゴムなどで適当にどこかに留めておい てかまいません.
Lビデオカードの装着
ビデオカードをマザーボード上のVLバススロットに装着し(写真17),ネジ留めします.このとき,かなり堅いとは思いますが,基板の両端を押さえてできるだけ均等に力をいれて挿入してください.ネジ留めした後もう一度,十分に差し込まれているかど うかをチェックします.
■組み立て完了
本体内部での,各種装置の取り付けおよびケーブルの接続が終ったら,もう一度念には念をいれて再確認しましょう. それでは次に,外部機器を接続します.キーボードからのケーブルをキーボードコネクタに,ディスプレイケーブルをビデオカードのコネクタにつなぎます.もちろん,ディスプレイの電源ケーブルをコンセントに接続しなければなりません. マウスのケーブルは,シリアルポートのCOM1コネクタに接続します.プリンタを接続する場合には,パラレルポートのコネクタに接続してください. 最後に,本体ケースの電源ケーブルを接続し,コンセントにつなぎます. いよいよ,電源投入です.電源スイッチを押してみましょう.少しでもおかしいなと感じたときは,必ず電源を切ってから,異常の原因を探ります.
■石橋をたたいて渡る
筆者の場合はトラブルフリーだったかというと,そうではありませんでした.「石橋をたたいて渡る」慎重さが大切であることを,自ら証明することになりました.電源投入後次のように表示したまま,動かなくなってしまったのです.
AMIBIOS (C)1993 American Megatrends Inc., 486MIS SYSTEM BIOS 1.3
008064 KB OK
WAIT......
しかし,しばらくすると次のようなメッセージが表示されたため,原因が推定できました.
486MIS SCSI BIOS 1.20-340
HDD controller failure Press to RESUME
そうです!ハードディスクに異常があるというのです.そういえば思い当たるところがありました.ハードディスクケーブルのコネクタを接続したきに,どうもしっくりこない感触が残っていたのです.そのときは,念を入れて押し込んだつもりではあったのですが……. そこで,もう一度コネクタを外してやり直してみたところ,今度は見事に動きました.
(参考文献)
パソコン雑誌「I/O」(工学社発行)1994年10月号,11月号 連載記事「DOS/Vプレイランド」、内田保雄